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妥協のないメモリ

この1年半の間に、世界的なパンデミックによるかつてない市場の変化が起こりました。そしてこの変化は、業界全体に波紋を広げています。

その一つが、世界的なIC不足であり、エレクトロニクス産業や世界経済に影響を与えています。世界が正常な状態を取り戻すにつれ、各国政府は経済の立て直しに取り組んでいますが、IC不足の危機が深まり、より多くのメーカーに影響を及ぼすようになると、経済回復の遅れにつながります。

他社と同様に、ウィンボンドも状況の変化に応じて、戦略的な製品および技術計画を採用してきました。当初は、感染拡大防止のため工場が何千人もの労働者を非稼働としたことで、業界の需要が減少すると考えられていました。しかし、実際にはその逆で、ICチップの需要は急増しています。

米国半導体工業会(SIA)は、2021年1月における世界の半導体産業の売上高を400億米ドルと推定しています。これは、ロックダウンが始まる前の2020年1月における合計353億米ドルから、13.2%増加しています。同会によると、2020年通年における世界の半導体業界の売上高は4,390億米ドルで、2019年に比べて6.5%増加しています。

 

2022年以降

2022年以降、以下に挙げるものなどが最も大きな成長市場となり得るでしょう。

 

AIアプリケーションの増加

IoTデバイスに搭載されるAI は、人間の介入がより少なく、もしくは全くなくなり、インテリジェントな行動や意思決定をシミュレートするテクノロジーの採用増加が見込まれます。 また、CIS(Computer Information Systems)におけるAIは、顔や物体の認識率をより高く、より速くすることを可能にします。

ウィンボンドのHyperRAMは、最大周波数200MHz、最大データ転送速度400Mバイト/秒、動作電圧3.3Vまたは1.8Vで動作し、これらのアプリケーションに最適です。また、通常動作モードとハイブリッドスリープモードでの超低消費電力を実現しています。ウィンボンドの64Mビット HyperRAMを例にとると、室温での待機時消費電力は1.8Vで70uW、さらに特筆すべきはハイブリッドスリープモードにおける消費電力であり、1.8Vでわずか35uWです。さらに、HyperRAMは信号ピンが13本しかないため、PCBレイアウト設計を大幅に簡素化できます。設計者が新製品を開発する際には、MPUのピン数を増やして他の目的に使用したり、ピン数の少ないMPUを使用してコスト効率を高めたりすることができます。

また、ウィンボンドはOctalNANDフラッシュメモリ開発においても、この新たなトレンドに対して素早い対応を見せました。OctalNANDフラッシュメモリ(1Gビット品/W35N01JW)は、NANDフラッシュ技術の読み出し性能の新しいベンチマークとなりました。最大連続読み出しスループットは240Mバイト/秒で、これは、ウィンボンドによる初期の高性能シリアルNAND(QspiNAND)フラッシュファミリ(W25N-JW)の3倍の速さに相当し、市場の一般的なQspiNANDフラッシュ製品の約10倍の速さとなっています。

このレベルの性能であれば、OctalNANDフラッシュは、512Mビット以上の高容量帯において読み出し性能を下げることなくビット単価を抑える、Octal NORフラッシュの代替ソリューションとなり得ます。

ウィンボンドのHyperRAMは、低容量、高帯域幅、および低消費電力の特長により、AIやAIoTのコンピューティング効率を高めることができます。一方、OctalNANDフラッシュは、Octal NORフラッシュに代わるソリューションを提供し、今後、AIや機械学習機能を活用したロボット、その他システムなどで、大容量なコードストレージに使用されるでしょう。

 

5Gとその先

WiFi6などの5Gを利用したアプリケーションは、ファイルサイズが増加し続けるにつれてアップロード/ダウンロード速度が向上し、ゲームだけでなくPONやIP Camのセキュリティのためにも、高品質のビデオをストリーミングするための大容量データの要求があります。

ウィンボンドは、IPカメラやカメラ付きドローンのメーカーにLPDDR3 DRAMを提供しています。高帯域幅で高解像度ビデオシステムを提供するには、LPDDR4またはLPDDR5世代のDRAMテクノロジーよりも簡単に最終製品の設計へ組み込める必要があります。

 

車載におけるADAS

ウィンボンドにとって最も大きな成長市場は、車載市場となるでしょう。現代の自動車は、ボディ、パワートレイン、インフォテインメントシステムなど、ほぼすべての部分で電子機器が重要な役割を果たしています。消費者が高度な安全性、セキュリティ、インフォテインメント、快適性、利便性などの機能にさらなる革新を求め、各国政府の燃費基準が上がり続けている中、将来の自動車は、さらに多くの電子部品が搭載されることになるでしょう。フラッシュメモリなどのコアテクノロジーが、最高レベルのセキュリティと安全性の基準を満たすことがますます重要になっています。

ハッカーからの脅威は今後もますます巧妙になり、半導体メーカーはこれらの攻撃を迅速かつ効果的に阻止できる、最新のアプローチを開発する必要があります。安全性とセキュリティの点で、現在発売されている自動車ではすでに、車間距離制御装置や車線維持装置など、高速道路での半自動運転機能が実現されていますが、このADAS(先進運転支援システム)にはNORフラッシュが欠かせません。

自動運転技術は早いペースで開発が進んでいます。今後数年のうちに、より多くの自動車が、フラッシュを搭載した電子システムによって動作制御されるようになるでしょう。

ADASに限らず、インストルメントクラスターなどでも、フラッシュはセーフティクリティカルなシステムを構成する部品であり、そのようなシステムが制御出来ない不具合が発生すると、車両の安全性が損なわれたり、制御不能になったりする可能性があります。

ウィンボンドのW75Fセキュアメモリエレメントは、AEC-Q100に準拠し、コモンクライテリア EAL5+およびASIL-Dの認証も取得しています。W75Fは、フラッシュアレイセルから物理的インターフェイス、そしてホストに至るまで、99.9%以上の不具合をカバーする故障検出機能を提供します。W75Fの安全性は内蔵型組込みフラッシュメモリを上回っており、高容量化も可能です。

W75Fは、セキュリティと機能安全の厳格な要件を満たす必要がある車載プラットフォームにとって、より有益なものとなっています。ウィンボンドは、高い安全性と高いセキュリティレベルのいずれにおいても妥協することのないデバイスを設計し、その能力が証明されている唯一のフラッシュベンダーです。

 

終わりに

ICチップ不足の影響は今後も続くでしょう。企業において長く続いてきたサプライチェーンはダメージを受け、ジャストインタイムの理念を新たな状況に適応させることを余儀なくされています。つまり、サプライヤーと緊密な関係を維持することは、常に良いビジネス戦略と言えます。

製品開発者にとって、将来の供給源としてIDM(Integreated Device Manufacturer/垂直統合型デバイスメーカー)に注目することは、信頼できるサプライヤーを持つこと以上に有益となる可能性があります。なぜなら、このような厳しい時期にあっても業界の変化をいち早く察知し、先頭に立つことができるからです。

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