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5G携帯モデム用の新たな低コストメモリソリューション、超高速ワイヤレスブロードバンドの採用を促進

5Gは次世代スマートフォン向けの超高速モバイルブロードバンドや誤作動の許されない緊急サービス通信ネットワーク、革新的なIoTやスマートシティアプリケーション用の低電力・常時接続無線の高密度アレイなど、さまざまなユースケースと製品タイプをサポートするテクノロジープラットフォームです。

このテクノロジーは非常に高いポテンシャルを持っていますが、幅広く採用されるには時間がかる見込みで、まだ一般消費者市場にはほとんど出回っていません。 2020年東京オリンピックなどのイベントは、5Gの消費者採用を広めるきっかけとなると期待されていますが、現時点では、世界の多くの地域で初期導入段階にあります。 5Gの展開が最も進んでいる韓国以外の国では、大都市の一部の限られた消費者しか5G携帯電話を使用できません。

 

成長の市場機会:5Gモデム

しかし、5Gのユースケースのひとつで確実に有望なものがあります。それは家庭や小規模オフィスに高速ブロードバンドインターネットサービスを提供する固定5Gアクセスポイント、または通信顧客端末(Customer Premises Equipment/CPE)です。

わかりやすい使用例として固定5Gモデムがあります。これは、地下の銅線または光ファイバーケーブルで接続された従来のxDSLまたはケーブルモデムに対して低コストの代替品となります。コスト削減が可能となる理由は、電気通信交換機とユーザー宅間、いわゆるラストマイルにおいての設置コストが大幅に抑えられるからです。ユーザー宅の外壁に設置された5Gモデムが携帯電話の5G基地局および宅内Wi-Fi®ルーターへのワイヤレスリンクを形成し,それに必要なのは、5Gモデムの電源ケーブルのみです。

対照的に、ケーブルまたはxDSLモデムを初めてインストールする場合、通常、最寄りのネットワーク交換ユニットからユーザーの敷地内に地下ケーブルを設置する必要があります。これは、費用だけでなく、手間も時間もかかります(図1を参照)

1:地下通信インフラの検査や設置は困難で時間がかかる-2018年、プエルトリコのサンファンのムニズ空軍基地(パブリックドメイン画像

 

このことから、米国のVerizon、AT&T、T-Mobileなどのネットワークサービスプロバイダーは現在、ケーブルやxDSLを使用せず、宅内にブロードバンドインターネットアクセスを提供できるよう、5Gモデムの商業的可能性を追及しているのです。また、最大ダウンロードデータレートは300Mbps(※1)で、既存のxDSLと比較してはるかに速いスピードであり、ユーザーまたは交換機のxDSLインフラストラクチャーをアップグレードする必要がないため、低コストにて取り入れることが可能です。

 

5Gモデムメーカーのメモリシステムに関する懸念事項

高速動作や高いデータ転送速度をサポートするために、ワイヤレスセルラーモデムはプロトコルソフトウェアの大きなコードベースが格納可能な容量かつ高速なメインメモリなど、高速なベースバンドプロセッサアーキテクチャを必要とします。

現在市販されている5Gモデムは、1.8VのNANDフラッシュとLPDDR4xをひとつのパッケージに収めたマルチチップパッケージ(MCP)と呼ばれるメモリを搭載したハードウェアを用いることで、このアーキテクチャを実装できます。

LPDDR5は、低電力同期DRAM(SDRAM)メインメモリテクノロジーの最新バージョンで、2019年半ばに販売が開始されたばかりです。これに対して、LPDDR4xは、広く普及しています。 Qualcomm、Samsung、Huawei、MediaTekなどのメーカーが提供するセルラーモバイルプロセッサチップセットに必要な低電力動作および高データ転送速度を5G モデムに提供します。

これまで、5Gモデムの設計者は「4 + 2」MCP(コードストレージ用の4GbのNANDフラッシュと2GbのLPDDR4x DRAMをシャドーイングし、ひとつのパッケージに搭載したもの)を採用してきました。 この「4 + 2」の組み合わせは、ラップトップコンピューターやタブレットにワイヤレスブロードバンドを提供する5Gドングルなどのモバイルモデムに必要です。 モバイルモデムは、1つのセルから別のセルへのシームレスな移行など複雑な操作処理が必要で、デバイス接続の基地局間移行を途切れることなくハンドオフすることを必要とします。

ただし、5GのCPEモデムは固定です。単一基地局との永続的な接続を維持し、基地局間で移動することはありません。 また、モバイルモデムは5G基地局のないエリアでカバレッジを提供する必要があるため、古い2G / 3G / LTEセルラーネットワークテクノロジーとの後方互換性を維持する必要がありますが, CPEモデムではその必要はありません。

これにより、5Gプロトコルソフトウェアコードベースの大部分が不要となり、コードストレージ用に小容量の安価なNANDフラッシュを使用できるようになります。

 

低コストメモリオプション

これらのことから、ウィンボンド・エレクトロニクスは1.8V 2Gb NANDフラッシュと1.8V 2Gb LPDDR4xメモリをスタックしたMCP製品、W71NW20KK1KWを発売しました(図2を参照)。2GbというNANDフラッシュの容量は、CPEとして使用することを目的とした固定5Gモデムに最適です。NANDフラッシュの容量が2Gbと小容量のため、現在「4 + 2」 MCPメモリで使用されている4Gb NANDに比べ小型で安価となります。 つまり、5G CPEモデムの開発者はW71NW20KK1KWを使用することで、BOMコストを削減できます。

2:ウィンボンド・エレクトロニクスのW71NW20KK1KW:NANDフラッシュとLPDDR4xを単一の小型パッケージに収納

 

W71NW20KK1KWのMCPは、コンパクトな8.0mm x 9.5mm x 0.8mmのボールグリッドアレイ(BGA)パッケージに収納されています。コードストレージ構成は、シングルレベルセル(SLC)NANDフラッシュと同じです。SLC NANDフラッシュは、スマートフォンやソリッドステートディスク(SSD)などの最終製品の組み込みストレージの各世代で使用されているより大容量のマルチレベルセル(MLC)、トリプルレベルセル(TLC)、およびクアッドレベルセル(QLC)NANDデバイスよりもさらに堅牢なフラッシュメモリテクノロジーです。ビットエラー率が低いため、エラー検出および修正ソフトウェアの複雑さが軽減され、より高いデータ整合性を提供します。

同時に、SLC NANDフラッシュは長いデータ保持期間を提供し、MLC、TLCおよびQLC NANDよりも多くのプログラム/消去サイクルに耐えることができます。 耐久性とデータ保持の仕様に関しての詳細は、無料で入手可能な信頼性レポートをご参照ください。

W71NW20KK1KWに搭載されたSLC NANDフラッシュは8ビットバス、1ブロックあたり64ページで構成され、最大ページ読み取り時間は25µs、ページプログラム時間は通常250µsです。

W71NW20KK1KWに搭載されたLPDDR4x DRAMは、最大2133MHz(※2)のクロック周波数で動作し、LVSTL_11インターフェイスを提供、同時動作用の8つの内部バンクを備えています。 x16データ幅を特長とし、最大4267MT / 秒の転送速度で動作し、5Gネットワークサービスプロバイダーが販売する超高速ブロードバンドダウンロード速度をサポートします。

2Gb + 2Gb構成のW71NW20KK1KWは、CPEとしての使用を目的とした5Gワイヤレスモデムに適しており、費用対効果の高い選択です。ただし、一部のアプリケーションでは、より大きなコードベースを格納するためさらに大きなフラッシュメモリ容量が必要になります。このニーズに応えるため、ウィンボンド・エレクトロニクスは4Gb + 2Gb バージョンのMCP製品も開発し、2019年末までにサンプル提供開始予定です。

 

ウィンボンド・エレクトロニクスは5Gテクノロジーの採用を支援

W71NW20KK1KWを組み込んだ費用対効果の高い新世代5G CPEユニットの導入は、高速ブロードバンドネットワークのラストマイルでの固定回線銅線または光xDSLリンクの代替として、5Gの消費者採用を促進するのに役立つことが期待されます。 

ウィンボンド・エレクトロニクスは自社工場でNANDフラッシュとLPDDR4xの両製品を製造し、MCPとして提供している唯一の半導体メモリメーカーです。生産は完全にコントロールされており、W71NW20KK1KWの供給数量、スケジュール、品質、サービス保証に対する顧客のご要望を100%満たす事が出来ます。

 

5Gニュース

ウィンボンド・エレクトロニクス、2Gb NAND + 2Gb LPDDR4xのマルチチップパッケージをリリス- 5G CPEモデムの本格展開をサポート

参照

(※1) Version5Gホームサービスのダウンロードデータレート( 300Mbps)  www.verizonwireless.com/5g/home/

(※2) クロックレート2133MHzはLPDDR4xのシングルダイ製品の場合です。MCP品は1866MHzとなります。

ウィンボンド・エレクトロニクス、フラッシュメモリプロダクトマーケティングマネージャー Wilson-Huang著

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