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デジタル化する電気自動車、 競争が激化する車載向けフラッシュメモリ

自動車のデジタル化・電動化の加速に合わせ、各国政府が代替エネルギー車に細心の注意を払っています。多くの国が電気自動車関連の補助金制度を打ち出しており、ここ数年で世界的な販売が加速しています。

2021年ドイツのミュンヘンで開催されたモーターショーIAA Mobilityにおいて、ポルシェを含む数多くの主要自動車メーカーが電気自動車または関連するコンセプトカーを展示しました。よりスマートな運転機能の追加のみならず、多くの新型車両には大画面タッチスクリーンが装備されており、車載エンターテイメントシステム、セキュリティおよびハッキング防止技術、そして電気自動車の全体的な効率も向上しています。また、デジタル情報のストリーミング、ゾーンアーキテクチャ(zonal structure)やデバイスのデジタル化の程度から、クラウドとエッジコンピューティングの処理能力も大幅に向上していることが分かります。さらに、エネルギー貯蔵の新たな考え方や資材のリサイクル等、環境面の取り組みも進んでいます。言うまでもなく、自動車領域では既に、デジタル革命が繰り広げられています。

2022年6月、欧州議会はEU域内で2035年からガソリン車の新車販売を事実上禁止することを可決しました。同法案に反対する声がある一方、電気自動車はいずれ市場の主役になるでしょう。自動車のデジタル革命は、メモリメーカーにとってもまた魅力的な市場になります。さまざまなタイプのメモリチップの中で、自動車市場におけるフラッシュメモリの競争はさらに激しさを増しているようです。

 

HPCプラットフォームがフラッシュメモリを搭載した将来の自動車の新しい標準に

現在主流であるガソリン車から電気自動車に移行し、さらに電気自動車の自動運転に移行するには、自動運転支援システム(ADAS)の絶え間ない性能向上が必要です。つまり、自動車向けの半導体は、より高度な自動運転機能とAIアルゴリズムの持続可能な拡張を提供すべく、継続的に進化する必要があります。

HPC(High Performance Computing)は高性能のマルチコアチップ、車載OS、多様なソフトウェアシステム、高速かつ低遅延の通信、機能安全、情報安全、OTA等の複雑な技術を統合して、高レベルのアプリケーション要件を満たします。HPCの導入は、自動車の電子・電気アーキテクチャの根本的な再構築を意味します。現在、多くのTier1サプライヤーがゾーンアーキテクチャの導入を検討しており、中央のHPCが最高レベルの決定を下し、車両各所に散在するドメインコントローラーを介してデータ、コマンド、電力の伝送を担う仕組みです。

消費者にとって、将来のスマートカーはスマートフォンのように、高い料金を払って最新のソフトウェア・ハードウェア、質の高い映像・音響設備、より強固なセキュリティを利用することもできますし、逆に手ごろな料金で法規制の最低限の要求を満たすことも可能です。自動車メーカーにとって、新車販売や修理・メンテナンス以外の収入源が生まれます。料金別ソフトフェアとプラットフォーム、月間もしくは年間購読するストリーミングサービス、あるいは追加料金で一括購入する自動運転支援システム等のサービスが自動車メーカーの増収に繋がります。

関連統計データによると、2022年の車載HPCの市場規模は約5.6億ドルで、翌年から年々増加し、2025年に80.5億ドルに達する見込みです。この市場に参入すべく、車載チップメーカーはこぞって新たなHPC SoC (System on Chip) を発売しました。中にはAIディープラーニング(Deep Learning)アクセラレーターを搭載するタイプもあり、車の関連データを収集・分析・学習しながらビッグデータベースを充実し、将来に向けてアルゴリズムの改善に備えようとしています。大量のデータを収集・保存するメモリチップは自動車のデジタル化に向けた礎となっています。

 

自動車のデータストリーム通信にもフラッシュメモリが必要

自動車のデジタル化が進むとともに、データストリームのデータ保存と伝送への要求も高まっています。データストリームの伝送、データの読み取りと処理はデバイス間通信の重要条件であり、OTAはデバイスの継続的な学習、新しいデバイスや通信方式への認識を可能にします。したがって、無線経由で更新するOTAのような機能の需要が増え、OTAに関わる個人と車両情報安全の維持および認証もますます重要になってきています。

それだけではなく、車載装置同士のデータストリームのやり取りのために、車載セルラーネットワークC-V2X(cellular vehicle to everything)が生み出され、走行時の安全強化、渋滞緩和、総エネルギー消費削減の重要な役割を果たします。統計データによると、C-V2Xの市場規模は年間30%の複合成長率で拡大し、2027年に188億ドルに達する見通しです。

C-V2Xは一種の車載通信システムであり、その中にさらに細かい通信分類として、V2I(車・インフラ施設間通信)、V2N(車・ネットワーク間通信)、V2V(車・車間通信)、V2P(車・歩行者間通信)、V2D(車・デバイス間通信)など、車とシステム・デバイス間の情報伝送・解読が含まれます。これらのワイヤレス通信の情報の流れに基づいて、安全運転のためのタイムリーなパフォーマンスとデータフローの分析が最も重要です。

 

 

その過程において、極端な温度に置かれる埋め込み式の環境でも長時間動作できるストレージとデバイスが車載用途に必要です。高信頼性の不揮発性メモリとして、NORフラッシュには速い読み取り速度、高い安定性、電源切断によるデータ損失がないなどの特長があり、自動車においてほとんど代替品がありませんでした。

しかし、さまざまな装置の起動時の書き込みや利用者の関連データ量の増加とともに、より複雑な記録が求められるようになり、大容量かつ高コストパフォーマンスのNANDフラッシュの需要が高まりました。

 

車載向けフラッシュメモリ市場を支える原動力

フラッシュメモリの技術発展に伴い、NORフラッシュはほとんどマイナー分野になりました。特にスマートフォンがフィーチャーフォンに取って代わった今では、NORフラッシュ市場がさらに20億ドル以下まで縮小し、多くの主要メモリメーカーが同市場から撤退しました。ところが2016年以降、中・小容量が主流であるコンシューマエレクトロニクスとIoTデバイスの需要が高まり、それにつれてNORフラッシュ市場が返り咲きを果たし、新たな参入者を引き付けることができました。新たな参入者の台頭により、NORフラッシュをめぐる新しい競争が始まりました。

市場全体から見れば、NORフラッシュは新しい用途の出現と在庫不足により新たな成長期に入っています。IC Insights社による2022年第2四半期の報告書によると、2021年NORフラッシュはフラッシュメモリ市場全体に占める割合は僅か4%でしたが、売上高は63%増加し、29億ドルを記録しました。出荷数は33%増加し、平均売価は20%以上増加しました。同市場は2022年に更に21%拡大し、35億ドルに上る見込みです。

しかし、用途別市場の現状から見れば、現在、中・小容量のNORフラッシュのほとんどがIoTやコンシューマエレクトロニクスに使用されています。この領域の競争が激化すれば、利益がだんだん圧縮されることはほぼ明らかです。そのために、多くのメモリメーカーがハイエンド用途への参入を目指しています。

自動車のデジタル化が数多くのシナリオを生み出し、新な希望をもたらしています。IC Insights社のデータによると、多くのNORフラッシュメーカーが車載用途において伸びているのが分かります。複数のメーカーが自動車分野にいち早く進出することで、NORフラッシュ市場を再び蘇らせました。

ウィンボンド・エレクトロニクスは世界最大のNORフラッシュメーカーで、売上高は10億ドルを超え、NORフラッシュ市場全体の約3分の1を占めます。同市場のリーディングカンパニーとして、ウィンボンド・エレクトロニクスは10 年以上にわたって自動車分野に深く関わってきました。現在では世界の自動車メーカー上位10社が同社メモリ製品を採用しています。スペシャリティDRAM、SLC NAND等のラインナップのほか、最近では車載用NORフラッシュ等高付加価値製品の拡充に努めています。

ウィンボンド・エレクトロニクスのシリアルNORフラッシュは既に車載用途の大半に進出していますが、デジタル化が進むにつれて、コードの保存に必要な容量もますます膨らんでいきます。リアルタイム通信と高速アップロード・ダウンロードのニーズに応えるべく、ウィンボンド・エレクトロニクスは8 I/OインターフェースのOctalNAND フラッシュを開発しました。8 I/Oにより、最高通信速度は240Mバイト/秒に達し、高伝送速度と低遅延が求められる用途に適用可能です。オクタルNORフラッシュも間もなく仲間入りします。

その他、無線通信システム、レーザーレーダ、タイヤ空気圧センサ、車載無線チャージャ、電気自動車バッテリーマネジメントシステム、エアバッグシステム、HUD、パワーマネジメントシステム、オーディオ等多数の用途にも適しており、さらにネットワーク通信、メディア・エンターテイメント、ドライブレコーダー等のOTA無線更新システム、カーナビゲーション、デジタルメータ、運転モニタリングとインタラクションシステム等のV2X用途、ゲートウェイ・ゲートウェイカメラ等の車載領域にも使用可能です。

 

 

しかし、どの車載装置を目指すとしても、自動車業界において走行中の安全性が何より大事な要素になります。ウィンボンド・エレクトロニクスは高品質・高効率・低エネルギー消費・高情報安全レベルの商品をお届けする信念をもとに、車載用途に適したフラッシュメモリを継続的に発売してきました。ウィンボンド・エレクトロニクスは、今後も自動車メーカーと緊密に連携し、消費者の要望に応えていきます。

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