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低容量LPDDR4/4x DRAM - エッジAIに最適な選択

エッジ人工知能(AI)チップセット市場は、2025年に初めてクラウドAIチップセット市場を上回ると予想されています。グローバルテクノロジー市場におけるコンサルティング会社のABI Research社は、クラウドAIチップセット市場のその年の収益が119億米ドルであるのに対し、エッジAIチップセット市場は122億米ドルに達すると推測しています。エッジAIには、スマートフォンやウェアラブル機器、スマートカー、そしてスマートホーム/インダストリー/シティなどが含まれますが、その中でも特に、スマートホームはエッジAI市場の主要な促進力となるでしょう。

AIトレーニングのワークロードのほとんどが、パブリッククラウドとプライベートクラウドで発生します。従来、これらのワークロードをクラウドに集中させることで、柔軟性と拡張性というメリットがもたらされていました。しかし、プライバシー、サイバーセキュリティ、低遅延の必要性から、ゲートウェイやデバイス、センサーで実行することがより望まれています。この変化には、新しいAI学習アーキテクチャや高性能計算チップセットなど、主要領域における近年の進歩が重要な役割を果たしてきました。


エッジAIは、物理システムに限りなく近い場所でデータを計算します。これには、データ処理にネットワーク接続を必要としないというメリットがあります。データの計算は、中央のデータ処理センターではなく、データが形成されているネットワークのエッジ近くで行われます。エッジAIの最大のメリットは、時間的制約のあるニーズに対してリアルタイムに結果を確保できることです。さまざまな状況下で、即座にセンサーデータを収集、分析、伝達することができ、時間的制約のあるクラウドセンターにデータを送信する必要はありません。

ディープラーニングは、スマートフォンで採用されているほか、IoTデバイスでも使われており、最近ではAIとIoT組み合わせ、AIoTと呼ばれています。エッジAIは、レガシーIoTに新しい概念をもたらしますが、従来のIoTの処理装置であるMCUの演算能力では、ディープラーニングの実行には弱すぎます。現時点で、それらMCUを支援する2種類のハードワイヤードメカニズムがあります。DSPまたは専用アクセラレータ(ディープニューラルネットワーク、DNNと呼ばれる)です。これらのハードワイヤードメカニズムは、IPまたはチップとして実装することが可能です。

DNNの主要アルゴリズムである畳み込み層と全結合層の基本的な構成要素は、いずれも積和(MAC)演算です。ハイパフォーマンスを実現するために、高度な並列処理が多用されます。DRAMに格納されている重みづけの多くのイタレーションは、異なるトレーニングスタイルに応じて更新されます。

上述のメカニズムに関わらず、DNNではDRAMのスループットが鍵となります。このため、適切なDRAMを選択することがAIoTアプリケーションにとって非常に重要です。クラウド環境とは異なり、エッジコンピューティングでは低消費電力が懸念事項となり、AIoTデバイスのプランナーには、性能と省電力のバランスをとることが求められます。消費電力や性能に加え、AIoTデバイスに搭載されるDRAMに必要とされる容量は、携帯電話やPC向けDRAM(8~16Gビット)に比べ、低容量(1~2Gビット)となります。

ウィンボンド・エレクトロニクスの1Gビット LPDDR3 DRAMはその一例であり、AI企業のKneron社は最新のシステムオンチップ(SoC)であるKL720に採用しました。KL720はスマートロックやドローンなどのバッテリー駆動アプリケーションなど、さまざまなエッジデバイスに使用されている同社のSoCの1つです。

LPDDR3は、1.2V/1.8Vのデュアル電源で最大帯域幅8.5Gバイト/秒を実現しています。これは、Kneron社のKL720をはじめとする顧客デバイスが、4K、フルHD、3Dセンサービデオ画像をリアルタイムで処理し、セキュリティカメラの顔認識やジェスチャーコントロールなどのAIアプリケーションをサポートし、また、自然言語処理の実行を可能にします。

ウィンボンドのLPDDR3 DRAMの容量と帯域幅は、ビデオ画像をリアルタイムで処理する必要のあるカメラを採用した、先進運転支援システム(ADAS)などの車載アプリケーションでも使用することが出来ます。一方で、低容量メモリかつ高帯域を必要とし、基本的なAI推論の実行が求められるIoTエンドポイントにも多くの需要があると言えます。

図1に示すように、x32のLPDDR4/4xは、LPDDR3の約2倍に相当するスループットを実現しており、LPDDR3をLPDDR2と比較した場合と同様の利点があります。IO電圧については、LPDDR4のIO電圧が1.1Vであるのに対し、LPDDR4xは0.6Vであり、転送レートの向上とともに低消費電力化に貢献しています。JEDECはすでに最新のLPDDR5規格を発表していますが、市場投入されたばかりのLPDDR5の容量は、AIoTでの適用にはまだ大きすぎます。現時点では、LPDDR3が提供できる以上のAI演算能力が必要な場合、LPDDR4xが依然として最良の選択です。

図1

 

ウィンボンドは、自社のウェハ工場を所有しており、DRAMとNOR/NANDフラッシュの両方を提供するICメーカーのトップ4にランクインしています。ウィンボンドのLPDDR4/4x DRAMシリーズの容量帯は1~4Gビットで、自社開発の25nmテクノロジーノードを採用し、最大4266Mbpsの速度を実現しています。また、KGD(known good die)に加えて、標準の200BGAパッケージにての提供も可能です。

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