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メタバースにおけるメモリメーカーの新たな役割

2021年10月、Facebook社は社名変更を皮切りにメタバース事業を大々的に展開し始めました。一方、マイクロソフト社も2022年の1月に687億ドルを出資し、ゲーム開発大手アクティビジョン・ブリザード社を買収。アップル社も、近いうちにMRヘッドセットを発売すると発表しました。このように、テクノロジーの世界の表舞台に登場したメタバースは、次世代の「新星」として脚光を浴びています。

メタバースの発展を支える重要な柱として、コンピューティングとメモリが挙げられます。コンピューティング領域で既に熱い注目を集めつつあるメタバースをめぐり、大手メモリメーカーたちも新事業を我先にと展開し始めました。2021年から台湾のメモリメーカーは、DRAMの独自開発に注力しており、メタバース時代の到来により、株式市場ではキャピタリストたちの関心も集まっています。

 

メタバースがもたらすビジネスチャンス

コンサルティングファームPwC社の試算によると、メタバースの市場規模は2030年までに1.5兆ドルを超える見込みで、半導体がその発展を後押しする核心的な原動力になります。そして、この市場拡大に伴い、半導体業界が新たな成長を遂げることが予見されます。メタバース市場成長の鍵は半導体であり、その計算力を上げるために高性能なメモリが必要です。つまり、メタバースの発展において、メモリは極めて重要な役割を果たすと言えるでしょう。

パソコンやスマートフォンがインターネット時代の繁栄を支えたように、アクセスデバイスの開発もメタバース市場の成長には欠かせません。また、潜在的需要が大きいことも、メタバース市場のパイオニアとしてアクセスデバイスが業界から注目される要因の1つです。したがって、アクセスデバイス向けメモリを先制することができれば、メモリメーカーとして新たな成長を迎えられるでしょう。

 

 

メタバースのアクセスデバイスは、主にARとVRデバイスの二種類があります。比較的シンプルなタイプでも、AR・VRデバイス1台につき2つ以上のフラッシュメモリが搭載され、それぞれ映像表示と通信機能を担います。そして高性能であるほど、より多くのMCUやASIC、それに対応するフラッシュメモリは多くなります。またAR・VRデバイスでは、物理的なサイズの制約が厳しくなるため、ASICと同じパッケージの中にフラッシュメモリを実装する仕様も見られます。

フラッシュメモリの他に、メインメモリとしてDRAMも採用され、その仕様に合わせてコプロセッサが設置されます。AR・VRデバイスは急速な成長期にあり、まだ実用化されていない構想も多くあります。それだけに、AR・VRデバイスにおけるDRAMの搭載数の伸びも期待されます。

そして、何より注意すべきことは、セキュリティに関する法令が増え、メタバースに求められる安全性が高くなっていることです。AR・VRデバイスにあるMCUまたはASICは、全て関連のサイバーセキュリティー要件を満たさなければならないため、セキュリティ認証機能を持ったフラッシュメモリが必要になります。

 

メタバースの到来がなぜ台湾のメモリメーカーへの好機なのか

メタバース用AR・VRデバイス向けメモリは、メモリメーカーにとって新たな成長領域です。中でも台湾メーカーの存在感が大きいです。

世界上位5社のDRAMメーカーのうち、2社が台湾のメーカーです。そのうち、ウィンボンド・エレクトロニクスを始めとする台湾のメーカーがニッチ分野のDRAM市場で高いシェアを得ています。ニッチ分野のDRAMは中低容量に特化され、高性能・高速通信を特長とし、民生機器・通信・産業・自動車などの分野で幅広く採用されています。そして、AR・VRデバイスも民生機器の一種であるため、メタバースの高速成長期を迎えると、台湾のメモリメーカーの機運も高まります。

技術的な観点からは、メタバースに使用されるDRAMはより高速かつ低レイテンシーが求められるため、バンド幅の広いDRAMのみがメタバースの需要を満たします。世界のメモリメーカーも既に広帯域DRAMをめぐる競争を繰り広げています。新しいニーズを満たすには、過去の経験や知識だけでなく、それに応じた技術力も求められます。

こうして、2021年から台湾のメモリメーカー全てが自社技術でDRAMを生産するようになりました。新しい時代に向けてより高い市場シェアを取る事が、彼らの次の目標となっています。新分野が生まれるとともに新しいニーズも生まれ、それは台湾のメモリメーカーにとって、現状を打破し、市場シェアをさらに拡大する絶好のチャンスを意味します。ウィンボンド・エレクトロニクスを始めとする台湾メーカーは、シェアを拡大すべく万全な準備を整えています。同社は高性能・低消費電力メモリの設計ノウハウと、自社の12インチウエハファブによる生産優位性により、メタバース市場への進出を図っています。

また、特にNOR型フラッシュメモリの分野においても、台湾メーカーが高いシェアを有します。同分野の上位2社は共に台湾メーカーで、2社合わせて市場シェアの5割以上を占めています。

一方、市場の需要から見れば、AR・VRデバイスに関して人体の知覚系によるリアルなバーチャル体験が重要視されます。低レイテンシー、高速通信のメモリを使用すれば、映像再生がより滑らかになり、センサーがより軽量で高感度、長時間の連続使用が可能になるため、利用者の不便さや抵抗感を軽減します。このように、AR・VRデバイスにとって、省エネ・安定・安全がメモリを選ぶ際のポイントになり、これらは台湾のメモリメーカーが得意とするところです。

一方、新興産業として、AR・VRデバイスはIoTデバイスと同様、サイバーセキュリティー関連の基準を満たす必要があります。この点においても、台湾のメモリメーカーは遅れを取っていません。ウィンボンド・エレクトロニクスはフラッシュメモリとして業界初の国際規格Common Criteria EAL5+認証を取得したTrustME セキュアフラッシュメモリを発売しており、これはシステムセキュリティの向上が必要なアプリケーションに最適です。

さらに、台湾メーカーはコスト面でも優位性があり、この点もデバイスメーカーが台湾製品を選ぶ大きな要因です。このように、台湾のメモリメーカーはメタバース市場の成長に貢献しています。

 

ARVRデバイス市場におけるウィンボンド・エレクトロニクスの優位性

ウィンボンド・エレクトロニクスは台湾の主要メモリメーカーの1つです。DRAM・フラッシュメモリ・セキュアフラッシュメモリの分野で事業を展開し、メタバース用アクセスデバイス市場の成長に対応して行きます。

メタバース用のアクセスデバイスは主にAR・VRデバイスですが、同社のメモリは主にプロセッサーに対して使用され、スタンドアロンGPU向け小容量メモリとして使用されます。その他、視線追跡機能や高解像度表示機能にも、低容量・低消費電力・高帯域のDRAMが求められます。

DRAMはメインメモリと補助記憶装置のバッファ、もしくはAIモデルやOSの記憶に利用されます。ウィンボンド・エレクトロニクスは1Gbビットや2GビットのDDR3、LPDDR3、LPDDR4のような、低容量・低消費電力・高帯域のラインナップを提供しています。

しかし、メタバースはデバイスだけでなく、高速・低レイテンシーのネットワーク、エッジコンピューティングにより実現されるAI支援環境、さらには膨大なストレージ空間を提供しバーチャル環境を稼働させるクラウドプラットフォームも重要です。これらすべての要素がメタバースの実現を支えているのです。

デバイスもクラウドも、システムを稼働させるにはフラッシュメモリが不可欠ですが、容量や動作温度、パッケージ、セキュリティの必要性など、その選択肢は多岐にわたります。異なるシステム要件に対応し、お客様の全体的なパフォーマンスを向上させることも、ウィンボンドの製品計画における重要な課題です。

VR・ARデバイスは、高画質かつAI処理を使った映像をスムーズに見せるために高速ネットワーク接続を必要とするだけでなく、利用者の変化をモニタリングする必要もあります。性能を維持しつつ、より軽量化を図ることがVR・ARデバイスを進化させる方法と言えるでしょう。ウィンボンド・エレクトロニクスは充実した製品ラインアップを提供しており、動作電圧から容量まで、システムによって様々なASICに対応可能です。さらに同社は、さまざまなパッケージを提供しており、中でも1つのパッケージに複数ダイをスタッキングした独自のSpiStackを利用することで、VR・ARデバイスの小型化・軽量化をサポートします。業界初の1.2VシリアルNORフラッシュメモリは、高性能ASICを用いたシステムでもコストを抑えながら低消費電力を実現します。

 

 

また、セキュアストレージはハードウェアセキュリティの中核であり、ネットワークセキュリティの基盤です。セキュアフラッシュメモリ製品では、メタバースに対応した低消費電力かつ高性能なメモリが求められるでしょう。このため、ウィンボンド・エレクトロニクスはセキュアフラッシュメモリとして、TrustME(R)を発売しました。このTrustME(R)セキュアフラッシュメモリにはW76S、W75F、W77Qがあり、さまざまなセキュリティ認証に対応します。それによりお客様の作業を軽減し、製品化までの時間短縮に貢献します。

ウィンボンド・エレクトロニクスは、メタバース市場の拡大とともに、新たなステージに進むことを目指しています。

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